PEST分析という分析手法があります。これは、「外部環境」をもれなく、幅広く確認するためのフレームワークです。ヒット商品や優良企業の成功要因を議論していると、必ずと言って良いほど「時代のトレンドに乗った」というコメントが出てきます。この「時代のトレンド」を確認するのに「PEST分析」は非常に有用です。
例えば100円ショップで成功している大創産業(ダイソー)は、長引く不況というトレンドに乗っています。大人が遊べるゲームであるニンテンドーDSは少子高齢化というトレンドに乗りました。代行運転というビジネスは、飲酒運転の厳罰化というトレンドに乗って伸びています。
この「時代のトレンド」という日常用語を経営学やマーケティングの世界では「外部環境の変化」と呼んでいます。「外部」という言葉は、「自分ではどうすることも出来ない」こと意味しています。確かに年商1兆円クラスの超大企業であっても、上述した長引く不況、少子高齢化、飲酒運転の厳罰化といった事柄を変えることは出来ません。
外部環境を変えることは不可能。では、どうすれば良いのでしょうか。答えは「外部環境の変化に対応して自分自身(自社)が変わる」ことです。変わることが出来なかった過去の優良企業は、倒産したり他の会社に吸収されたりして我々の目の前から消えて行くことになります。
外部環境の変化を具体的に洗い出すためのチェックリストがあり、「PEST分析」と呼ばれます。
【P:政治】 Politics
政治方針、各種法律(消費者保護、個人情報保護、独占禁止等)、各種規制、等
【E:経済】 Economy
景気、株価、金利、外国為替、原油価格、貯蓄率、等
【S:社会】 Society
総人口、年齢構成、価値観、社会規範、宗教、教育レベル、ライフスタイル、等
【T:技術】 Technology
インターネット、エレクトロニクス、バイオ、ナノテクノロジー、エコ対応、等
4つの領域それぞれを万便なくチェックすることで、近視眼的に特定の環境変化にだけとらわれるといった事態を避けることが出来ます。
PEST分析を行う際の留意点が3つあります。まず1つ目は一般論としてのPESTではなく、自社が直面しているPESTを洗い出すことです。2つ目は現状のPESTだけでなく、その変化に注目することです。例えば5年後はどんなPESTになっているかを予想することなどが有意義です。3つ目は事実洗い出しだけで終えないということです。「外部環境は○○に変化する。だから自社は△△すべき」というところまでの考察を引き出して初めてPEST分析が完結します。
PEST分析は他のフレームワーク分析(3C、SWOT、4Pなど)を行う前に土台として踏まえておくべきものです。また、他のフレームワークで洗い出された様々な事実の重み付けをする際に、環境変化の方向性を勘案すると良いでしょう。
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