プロダクトアウト マーケットイン

プロダクトアウトとは企業が商品開発・生産・販売を行う上で、企業側の都合(技術、論理、感性・思い入れなど)を優先するやり方をいいます。逆に、マーケットインとはユーザーのニーズを優先し、ユーザー視点で商品開発を行って、ユーザーが求めているものを提供しようとするやり方をいいます。

ニーズとシーズという考え方に極めて近く、ニーズを重視するスタンスを「マーケットイン」、シーズを重視するスタンスを「プロダクトアウト」と言ってもよいかもしれません。

「マーケットイン」の思想をさらに押し進めた「カスタマーイン」という言葉もあります。これは顧客1人ひとりの要望に沿って商品やサービスを提供していくという考え方です。

市場が未成熟な導入期・成長期においては、新しい商品を開発し、適切な価格で市場に投入することで、ユーザーは商品を購入する傾向にありますが(プロダクトアウト)、市場が成熟し飽和状態になるにつれて購買サイドが市場の主導権を握る傾向にあるため、購買者の視点、ニーズを重視することが必要になってきます(マーケットイン)。

日本においては、「良いものを作りさえすれば売れる」という時代は終わりを告げており、商品・サービスの作り手がひとりよがりになることは厳に慎まなければなりません。

ただし、「マーケットイン」が優れていて「プロダクトアウト」が劣っているとは一概には言えません。ユーザーの想像を超えて、世の中を変えるような商品は「プロダクトアウト」から誕生することが多いのです。

ユーザーの顕在ニーズを軽視した「プロダクトアウト」の商品が、世の中を変えた成功例として電子レンジをあげることができます。電子レンジは、レーダー開発のための技術が転用されて開発されたもので、販売当初の60~70年代には、冷めた料理を温めたり、解凍するためにお金を出すことに消費者の理解が得られず、受け入れられませんでした。

しかし、その後徐々に浸透し、現在では電子レンジでの調理を前提にした食品が売られたり、「チンする」という言葉が国語辞典に掲載されるなど、食文化のみならず人々の生活までを大きく変化させました。

とはいえ、よほど革新的な商品を新規開発するのでなければ「マーケットイン」のスタンスを重視すべきでしょう。

実際のところ、商品企画の出発点が「マーケットイン」か「プロダクトアウト」か、ということはあっても、「マーケットイン」の観点だけで、もしくは「プロダクトアウト」の観点だけで作られた商品はほとんど存在しないでしょう。商品開発担当者も、程度の差こそあれユーザーのことを意識して技術を商品化するでしょうし、逆に100%ユーザー目線で商品を企画したとしても、開発・販売する場合に必ずリソース(技術などを含む)の制約を受けることになるからです。

重要なのは「マーケットイン」か「プロダクトアウト」かということではなく、両方の要素を考慮して、企業のリソースという制約の中でユーザーのニーズに最大限こたえようとする姿勢です。

最終更新 ( 2010/05/11 14:15 )