【書籍データ】書名:ブルーオーシャン戦略
著者:W・チャン・キム / レネ・モボルニュ
出版社:ランダムハウス講談社
価格:1,995円(税込み)
http://www.randomhouse-kodansha.co.jp/blueocean/top.html
【要約・解説】
永遠のエクセレント・カンパニーは存在しない。
企業が成功・成長する、もしくは生き残るために必要なのは、『ブルーオーシャン』の創造という成功を体系的に繰り返すことのできる戦略的行動(『ブルーオーシャン戦略』)であると筆者は主張しています。
では、ブルーオーシャン戦略とは何でしょうか?
ブルーオーシャンとは、競争のない市場空間を生み出して、競争を無意味にすること、需要を押し上げて競争から抜け出すことであると筆者は定義しています。
『ブルーオーシャン』を分かりやすく理解するために、既存市場である『レッドオーシャン』と比較すると以下のようになります。
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レッド・オーシャン |
ブルー・オーシャン |
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競争のない市場空間を切り開く |
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競合他社を打ち負かす |
競争を無意味なものにする |
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既存の需要を引き上げる |
新しい需要を掘り起こす |
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価値とコストのあいだにトレードオフの関係が生まれる |
価値を高めながらコストを押し下げる |
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差別化、低コスト、どちらかの戦略を選んで、企業活動すべてをそれに合わせる |
差別化と低コストをともに追求し、その目的のためにすべての企業活動を推進する |
そうした分析ツールやフレームワークを駆使し、『ブルーオーシャン』を創造するためには、以下のような手順で実行することが求められます。
(1)既存市場の戦略キャンパスを描く
戦略キャンパスは、魅力ある『ブルーオーシャン』を創造するための分析を助けるだけでなく、行動のためのフレームワークとしても活用可能なツール
戦略キャンパスにはない新しい価値を買い手に提供するために必要なアクションを4象限にまとめたツール

横軸には、業界各社が力を入れている競争要因を入れ、縦軸には、横軸の各要因について買い手がどの程度のレベルを享受しているかを表すことにより、競合他社は何に投資をしているか?各社が何を売りにしているか?顧客はどのようなメリットを享受できているか?といった既存市場について現状を把握することが可能になります。
(2)4つのアクションを考察する
「減らす」「取り除く」ことを考えることで、競合他社よりもコスト面で優位にたつためのアイディアを創出し、「増やす」「付け加える」ことを考えることで、買い手にとっての価値を高め、新たな需要を生み出すためのアイディアを創出することが可能です。
戦略キャンパスで描いたアメリカのワイン業界(1990年代末ごろ)に「イエローテイル」が策定した4つのアクションに対する打ち手をまとめると以下のようになります。
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取り除く ワインの専門知識や等級表示 熟成 マスマーケティング |
増やす デイリーワイン並みの価格 小売店との連携 |
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付け加える 飲みやすさ 選びやすさ 楽しさと冒険 |
アクションマトリクスを作り上げるために有効なツールとして、『ブルーオーシャンの創造への6つのパス』を作者は提示しています。
では、どのようにしてアクションマトリクスを作り上げていけばよいのでしょうか?

上記の6つのパス(思考方法)によって、作り出されたアクションマトリクスを策定することで競合他社とは違う新たな価値を生み出す方法を発掘することが可能になります。
(3)独自の戦略キャンパスを描く
『アクションマトリクス』を実行し、競合他社とは違う新たな価値曲線を描き出すことにより、競争要因そのものを刷新して従来の競争ルールを無効化できるかをビジュアル的に確認できるツール

優れた戦略キャンパスの特徴は、
・競争要因にメリハリがついている
・高い独自性がある
・訴求力のあるキャッチフレーズが作れる
ことであり、上記3点が満たされていない場合には、4つのアクションから見直し、戦略キャンパスを再構築する必要があります。
以上のように、(1)~(3)までの手順に従い戦略を策定・実行することで、『ブルーオーシャン』を創造することができ、既存の競争ルールにとらわれることなくあらたな市場を開拓することが可能になります。
【我々の考察】
■市場創造方法を体系的にまとめあげたところに価値がある
今までは、天才的な才能をもった一握りの人が新たな市場を創造することができないような認識があったにもかかわらず、再現性のある体系にまとめあげたところが、ビジネス書の中で目新しさとなり、ベストセラーになった側面があると考えられます。
■本当にこのアプローチで成功するのか
競争を無力化する新たな価値を創造することで、既存顧客の活性化、新規顧客の獲得が同時にできることが、確かに理想です。ただし、その新たな価値を出すことがどの企業でも困難な状況は依然として続いています。世界的不況となった今こそ、『ブルーオーシャン』の創造を!といいたいところです。しかし、なんらかの理由でそうはなっていません。それは、単に、『ブルーオーシャン戦略』を実行していないだけとは思えません。また、成功している企業に関しても、本書のシナリオに沿って事業計画を立てたわけでなく、結果として『ブルーオーシャン』が成り立ったのではないか、と疑問が残ります。
■『ブルーオーシャン』もいつかは『レッドオーシャン』
生み出した『ブルーオーシャン』は、大きな時間軸でいうと、いつかは他社に模倣され『レッドオーシャン』となっていくため、継続して『ブルーオーシャン』を創造していくことこそが一番重要です。過去の成功体験のみで事業の方向性や商品性などを判断するのではなく、カスタマーの潜在ニーズを掘り起こしていくことで事業の方向性や商品性を決めることを継続している必要があります。
■大企業へのメッセージ
アクションマトリクスのPDCAをまわす場合、計画通りに行かないことなどが想定されるため、実行するためには、ある程度の企業の体力(資金・労働力)が必要とされます。まったく体力がない企業がブルー・オーシャンを創造するのは、一種のギャンブルといえるでしょう。あくまでも『ブルーオーシャン戦略』は、体力がある企業のためにある戦略であると考えられます。
このように4つのアクションから創出されたアイディアを纏め上げたものを『アクションマトリクス』と呼んでいます。
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