SMCR

SMCRとは、コミュニケーションを構造化したフレームワークです。誰かと会話をするときに、自分の思っていることがなかなか相手に伝わらなかったり、まったく違った内容で伝わってしまったりすることがあります。そのようなときには、自分がしゃべった内容を振り返って、「あの言葉がわかりにくかったのだろうか」とか「ここが言いすぎた部分かな」と、自分の発言内容だけを意識して反省してしまいがちです。しかし、コミュニケーションについて振り返りを行う際は、もう少し広い範囲でコミュニケーションを捉える必要があります。

コミュニケーションを理解するために便利なフレームワークとして、「SMCR」というモデルがあります。「SMCRモデル」とはコミュニケーションを「送り手(Sender)」「内容(Message)」「手段(Channel)」「受け手(Receiver)」の4要素に分けて捉える考え方です。
ここからは、SMCRを個別の4要素に分けて説明します。

送り手(Sender
コミュニケーションにとって一番大切なのは、話したり、書かれたりする言葉(内容)だと思われがちですが、必ずしも、そうとは言い切れません。しばしば、コミュニケーションにおいては、「誰が、その言葉(メッセージ)を発信しているか」が、最も重要なポイントになる場合があります。

 

例えば、ここに、野球が大好きなA少年がいたとします。A少年の素振りを見て、イチロー選手がこう言ったとしましょう。

「君は野球のセンスがある。ただ、足腰が弱い。これから毎日10キロ走り込みをしなさい。そうすれば、君も必ずメジャーリーガーになれる。」

A少年は大喜びで明日からのランニングメニューをまじめにこなしていくでしょう。
ところが野球のど素人である私が、全く同じセリフを同じA少年に言ったとしたら、A少年はどうするでしょうか。

「素振り数回で何がわかるってんだよ。1日10キロなんて冗談じゃない。誰が走るかよ!」。

きっとけんもほろろに怒られてしまうか、まったく相手にしてもらえないでしょう。

皆さん、いかがでしょうか。コミュニケーションにおいて、誰が言ったのか・書いたのか、そのメッセージの送り手(Sender)が非常に重要であるとご理解できたかと思います。
皆さんもビジネスにおいて、自分がメッセージを発信する際には、メッセ―ジの聞き手に自分がどう受け止められているのかをまず把握することが重要です。その上で、メッセージの中身を変えていく必要があります。

 

そもそも、聞き手は、皆さんのことを知っていますか。知っているとしたら、どれくらい知っていますか。聞き手は皆さんに対して、好感を持っていますか。それとも反感を持っていますか。どれくらいの好感・反感ですか。

このように送り手(Sender)を意識することで、コミュニケーションの質が高まっていくのです。

内容(Message
コミュニケーションにおいて、内容(Message)が重要なのは誰もが理解しているでしょう。
ここでは「整合性」ということを強調したいと思います。他の3つの要素(送り手S、手段C、受け手R)との整合性がコミュニケーションにおいては非常に重要なのです。

さきほどの野球少年の例で考えてみます。イチロー選手のような誰もが知っていて、納得感を持った送り手(Sender)が少年に教えるには、シンプルな指示・命令という内容が、まさに「はまって」いました。それが私のような素人が送り手(Sender)となった場合は、もっと丁寧に説明を行い、命令というよりは提案するような内容が必要でした。

どんな内容を伝えるべきかは、他の3要素との整合性を意識しながら、決めていくべきなのです。

手段(Channel
手段(Channel)とは、何を通じて、その内容(メッセージ)が伝えられたか、ということです。会って話をする、電話で話をする、メモを使う、メールで伝える。すべてがチャネルです。同じ内容だったとしても、どのチャネルを通じて伝えたかによって、受け手の受け取り方は変わってきます。たとえば、皆さんが、上司から注意されるシーンを想像してみてください。メールで注意をされる、付箋に書かれたメモ書きで注意される、書面に書かれて注意される。それぞれで、皆さんの受け取り方がことなってくるはずです。

理解してもらいたい、お願いしたい、怒りたい、ほめたい。受け手(Receiver)に伝えたい内容によって、自分が使うチャネルを使い分けることで、効果的なコミュニケーションが可能になります。

何(メッセージ)を伝えるかと同様に、どのように伝えるかも非常に重要です。

受け手(Receiver
「馬の耳に念仏」という言葉がありますが、まさに SMCR モデルの有効性を実感させる言葉です。
どんなに格の高いお坊さん(送り手)が、有り難い「お経」という形で(手段)、素晴らしい人生訓(内容)を語ったとしても、その受け手が馬であったら何の意味もありません。

相手にこちらの言いたいことを伝えたいと思うのであれば、まず、受け手をコミュニケーションがちゃんととれる状態にすることが重要です。聞く準備がとれていないのであれば、まず、その準備をしましょう。場所を変える、朝早く時間をとる、会議のあと二人で残る。やり方はいろいろあります。まず、受け手(Receiver)がどんな状態にあるかをしっかり確認し、聞くことができる状態にすることから始めましょう。

このように、メッセージを受け取る際は、その伝え方(その表情、声質、ロケーション)によって、受け取り方が大きく異なります。まず、何を伝えたいのか、そして、それを伝えるためには、どのような伝え方をしたらよいのかをしっかり意識をしましょう。