因果関係

因果関係とは、二つ以上の事柄の間に存在する原因と結果の関係のことです。

通常、ある結果が発生する背景には、必ず何らかの原因と呼ぶことができる事象が存在します。物事を正しく把握し、また論理的に物事を考えるには、この因果関係を正しく把握し、事実を整理する必要があります。

例えば、ある会社で自社商品の売上が下がったとします。
その原因としては、「強力な競合商品が発売された」、「価格を上げた」、「広告を変えた」「世の中が不景気になった」、等々色々な原因が考えられます。これらのどれか一つが原因の場合もありますし、もしくはこれらの全てが原因となって、結果に結びついている場合もあり得ます。

原因を正しく把握できないと、正しい対応策をとることができません。そのため、何か問題が起きた場合は、しっかりと原因を見極める必要があります。

では、因果関係にはどのようなパターンがあるのか整理してみましょう。

(1)1つの原因が結果を生み出しているパターン
例:競合が新商品を発売したので、自社商品の売上が下がった。





(2)2つ以上の原因が結果を生み出しているパターン
例:競合が新商品を発売し、自社がテレビコマーシャルの放映をやめたので売上が下がった。








(3)「卵-にわとり」理論のパターン
「卵が先か、にわとりが先か」というように、ある原因が結果を引き起こし、さらにその結果が
また原因になる関係。実際にはどちらも原因であり、結果であると言えます。    
例:売上が下がって赤字になったため、価格を上げた。
するとさらに売れなくなってしまい、商品の採算を保つためにさらに価格を上げたとこ
ろ、価格の安い他社の商品に顧客を奪われてしまった。







また、因果関係の一般的な要素として以下の3点が挙げられます。以下の3点を全て満たして初めて因果関係が認められます。

①相関関係がある
原因と結果に相関関係が成立する。
②時間的前後関係
原因が結果よりも時間的に先行する。
③第3因子が存在しない
他に考えられる原因が存在しない。

例えば、「ジャンクフードを食べている子供は非行に走る」というテーマに関して因果関係を考えてみましょう。
点の条件のうち、確かに①②を満たしています。しかし、③を考えた時に第3因子「両親が共働きで一人で食事をすることが多い」「親のしつけがきちんと行われていない」等が浮かび上がります。

このように、条件を1点でも見落とすと、因果関係を錯覚してしまう可能性があるので注意が必要です。錯覚を起こさないためにも、漏れのない事象の洗い出しが必要です。まずは全ての可能性を書き出して、漏れがないことを確認してください。その上で、上記の条件を満たしていないものを省き、残ったものからどれが原因かを類推することで、より妥当な原因を見つけることができます。

ただし、ここで注意すべきことがあります。それは「ロジカルシンキング・マニア」にならないようにすることです。

ビジネスにおいて、ある出来事の原因を探り、次回以降の良い結果を得るために役立てようという姿勢は確かに非常に重要です。しかしこの傾向が行き過ぎて、重箱の隅をつつくような原因分析に多大な資源を投入することは避けなければなりません。

例えば今コイントスをして表が出たとしましょう。全ての現象には原因があるわけですから、表が出た原因を分析したくなる人もいるでしょう。しかしコイントスには投げ上げた時の傾き、コインの回転速度、投げ上げた高さ、受け止めた時の高さなど複雑な要因がからみ合っていて正確な原因究明には無理があります。また、仮にその原因がわかったとしても、次回のコイントスの時にそれをコントロールするのは極めて困難です。であれば、今回表が出た原因究明に時間をかけるよりも、表が出る確率が50%であることを知っておくほうが実際の生活をおくるうえでは有意義です。

皆さんの仕事においても同様に、原因が複雑にからみ合っている場合や、原因がわかったとしてもコントロール不能な場合があり得ます。因果関係の究明は重要なのですが、場合によってはほどほどでそれを止め、その結果が起きる確率を測定したり、その結果が起きたらどうするかの「二の矢」をあらかじめ準備したりすることが最終的な成果につながる場合も多いのです。